KH0-saipan
**1999年7−8月**
<<<KHφ(サイパン)>>>



【はじめに】

 予告どおり、7/29-8/2にサイパンから久々のDXペディを行い、のべ8860局のQSOを記録した。
今回は、ヤエスレンタルシャックでほとんど手ぶらで、楽をさせてもらった。

【準備】
 今年の新年会でJA3ARTさんから、KH0のペディションの提案があった。調査等を進め、
総会で正式に京都クラブ行事として実行することを決定した。JA3YAQだけでなく、
K8AQMの協力で管理しているクラブ局、W8YAQの運用もすることにした。
ホテルは、勝手がわかっていて、リグ等の持ち込みも必要ないことから、昨年、JA3ARTが行った、
YAESUのレンタルシャックに決定した。このマリアナホテルは、1991年にKH0/JA3YAQで利用した事もある
サイパン北部の丘の上にあるホテルである。
 参加者を募集し、最終的に、JH3QNHファミリー(3名)、JA3AJ,JA3RR,JA3ART,JA3KWZ,JH3TXR,JF3PLFの
9名(オペレータは8名)の参加となった。
 何度か事前のミーティングを行い、申し込み、持ち物の打ち合わせをした。持ち物といっても
ほとんどの無線設備は現地にあるので、無線関連以外のもの(ポットや蚊取り線香など)ばかり。
唯一の無線機関係の持ち物は、ふもとのホテルで宿泊するJH3QNHファミリー用の追加の無線機1セットと
リニアアンプくらいである。
(実際には、ほとんど使わなかったが・・)
 JA3ARTさんが、旅行社との交渉をすべてしてくれた。JH3BUMさんには、旅行保険をお願いした。
また、現地にタワーが建ったという情報が入ってきた。インターネットで建設状況が伝えられて来る。
(本来、5月の連休にできる予定がおくれていたらしい)我々が行く頃には、これが使えるとの
事であった。
 このレンタルシャック、最近は、結構、人気で予約がいっぱいはいっている。予約状況もインターネットで
検索できる。我々の到着する日の朝まで、盛岡クラブ(50周年記念らしい)が運用するようだ。
おかげで、到着時のアンテナの設置の手間が省ける。(本当は、到着時にリグやアンテナを自分たちで
設置し、終了後撤収するのを原則としている。)YAESU無線の黒崎さん(JN1WTK、ここをメンテ
している)から刻々と現地の情報が入って来る。記念撮影用に(QSLカードの写真用に)、
YAESUのメーク入りの帽子とポロシャツが欲しいといったら、送ってきてくれた。
 7/25、会報印刷時にJA3ARTさんからチケットを受け取り、出発を待つばかり。
 私は、直前に行われていたT88とQSOするために、シャックまで戻るのは面倒なのと、
留守中にJH3BVH(XYL)が運用する事を考え、マンションのベランダに21MHzのボービルホイップを設置した。
(ベースのベランダ用マストは直前の東京出張のついでに秋葉原で買ってきた。)
試しに、T88DXとT88JR、KH0の盛岡クラブを呼んで、動作状況を確認した。さすが近いと
いい加減なアンテナでも飛ぶ。

【7/29】
 早朝に出発する必要があったので、各自の都合の良い手段で関空まで行き、
4Fのチェックインカウンタ前で集合する事になった。私とJA3KWZさんは、始発の「はるか」で、
宇治方面のJA3RRさん,JF3PLFさんは空港バスで、JH3QNHファミリー,JA3AJさん,JA3ARTさんは、
自宅からMKのタクシーで行く事に決めた。
私の場合、地下鉄がまだ動いていない時間だったので、京都駅まで歩いて行く事にした。
また、タクシーは余裕をみて、04:00にお迎えとのことであった。
 JA3KWZさんと一緒に、空港に着くと既にみんな揃っていた。すぐにチェックイン。
旅行社の添乗員状態のJA3ARTさん。ハイジャックの直後だけに、手荷物検査も厳しい。
JA3RRさんがスーツケースに入れていた燃料用のガスボンベが荷物検査でひっかかり没収される。
リニアアンプ(FL2100B)を預けようとすると何かと聞かれる。「オーディオアンプ!!」とJH3QNHさんは
答えていたが、この人の仕事の感覚では数十MHzはオーディオの周波数領域らしい。
 チェックイン後、時間があるので、お茶でも飲んで(朝食でも食べて)ゆっくりしていた。
では、そろそろと動き始めたが、イミグレーションが混んでいて時間がかかる。ゲートを
通過した時には、出発の最終呼び出しのアナウンスをしていた。おまけに、搭乗ゲートは
一番端でモノレール(?)に乗って行かねばならない。出発の定刻には間に合ったが、世の中、
上には上がいるもので2人ほどまだ来ていないとの事。そのため、結局、出発は30分ほど
遅れた。
 いつも出かけ時の飛行機は値段でコンチネンタルを利用する事が多いが、今回はJAL。
飛行機の中では、ビンゴ大会、プリクラ風の写真撮影(枠から顔をだして自分のカメラで写真を撮る)等、
サービスはいい。
JA3KWZさんは、ビンゴで時計があたった。(KH0ではリグの上で現地時間を刻んでいた。)
 空港につくと、ホテルからのお迎えの車がきていた。JA3ARTさんが前回来たときも
同じ車だったらしい。
 30分ほど走り、マリアナホテルのふもとにある本館(?)に到着。JH3QNHファミリーをここで降ろす。
残りは、丘の上へ。部屋は3つあるコテージの右端。以前来たときや前回のJA3ARTさんの運用は
中央のコテージであった。
 本来なら、アンテナの設置やリグのセッティングから始めねばならないが、当日の朝まで
盛岡クラブが運用していたため、リグもアンテナもすぐに使える状態にある。
 リグはFT1000MPとFL7000、FT920が2セット、FT847、アンテナは、クランクアップタワーに14/21/28の2エレHB9CVと50MHz6エレ、
庭のルーフタワーに10/18/24の2エレHB9CVとロータリダイポール、ワイヤーは7MHzダイポールと3.5のツエップがセットされていた。
 アンテナのケーブルを引き込み、すぐに、決めていた日本との連絡周波数21.280MHzで声を出したが誰も聞いていない。
平日の昼間なんで無理もない。とりあえず、CQを出して、0530Z、一番に応答してきてくれたのはJH3BUMだった。
その後、さらに、CQを出していると、平日の昼間にも関わらず、結構呼んでくる。
(リタイア組みの2文字のOMが多い!!)みんな、レンタカーの手配や買い出しにいっている間、 運用していました。買い出しの手伝いさぼってしまった、ごめんなさい。
 FT920の1セットは、ふもとのJH3QNHファミリーの部屋にセットされ7MHzのダイポールを設置。
WARCのアンテナが不調(SWRが高い)で、FT920のアンテナチューナでもチューンは取れない。盛岡クラブのメンバーともQSOできたので、
その事を聞いてみたが彼らは問題なかったとのこと。ヤエスの黒埼さんも何度か状況確認の電話をしてきてくれた。
WARCのアンテナはケーブル関係が怪しいとの事。MFJのSWRアナライザで調べても変な値を示す。後でわかったが、
横の(隣の山の上の)放送局の電波の影響らしい。とりあえずディップ点くらいは判断できる。
 しかし、最近の無線機は機能が多すぎて、使い方が難しい。セミブレークインはどのスイッチや?
RIT(YAESUなんで正確にはクラリファイヤ)はどれ?とみんな困っている様子。おまけにディスプレィにメニューを
呼び出して、ソフトで設定する項目も多いのでなおさら。さらに、パネルの文字も小さくて読みにくく、
天眼鏡を出してきて操作しているJA3KWZさんが印象的だった。夜中は、ふもとでJH3QNHが7のCWで
W8YAQを運用していた。

【7/30】
 平日の朝でも出ている人が沢山います。適当に交代しながら計画を練る。
 WARCのHB9CVが不調だったんで、置いてあったロータリーダイポールをあげて見たが同じ状態。
ただし、FT920のアンテナチューナでもチューンは取れないが、何故か、FT847で24MHzのみ運用できたので、
FT920のアンテナチューナもあやしい。WARCを積極的に運用しますと事前にアナウンスしているのが嘘になってしまう。
 JA3KWZさんとJA3AJさんは、衛星のアンテナの準備も開始するが、AO10の不調もあってループが返ってこない。
オービットを計算しながら、何度か試しているがダメなようである。
 JA3RRさんが運用していると、VKの局がYLを出せとうるさい。出発前に約束していた、YLアワードを集めている局の
ようである。ちょうど、JH3QNHファミリーが山の上にに向かっていたので待っていてもらい、
到着後、「JA3ARTのDX-QSO講座」を受講後、VE7YL・VK3DYLとJH5IXGでQSOが成立した。
 滞在中は、一回くらい豪華な食事を、ということで夕食はホテルのプールサイドで食べ放題のバーベキューを選んだ。
なお、旅行中は日本から持参したラーメン、ご飯、みそ汁、及び現地で購入したビールとパンといった
いつもの自炊であった。(いつもの状態である)
 夕食から、帰って、FT1000MPのセットに関して、1時間交代で24時間運用体制にはいる。くじ引きで順番を決め、
夜中も次の当番の人をたたき起こすというルールが自然発生的に決められた。
1時間運用で5時間休憩の繰り返しである。残りは自由にということで、FT920はWARC&7MHz、
FT847は50MHz用に決める。
 部屋には、いつもの様に、当番表と営業成績表(リアルタイムQSO数集計表)が張り出される。
打倒、盛岡クラブである。(なんのこっちゃ?)向こうは1週間で8000局程であったので
当面の目標にする。
 夜中にヤエスの黒埼さんが現れる。10年ぶりのアイボール。早速、アンテナのメンテを始めていた。
今回はアース棒を持ってきていた。いつも日本からサイパンへの「運び屋」らしい。

【7/31】
 メッセージキーの使い方もわかり、50MHzのビーコンを自動的に出し始める。
0211Z、N3JJ-JA7EYKのQSOを皮切りに50MHzがオープン。
 リグやアンテナの不調を黒埼さんが調べ始める。WARCアンテナの不調は、同軸ケーブルのコネクタのようだ。
おまけに、スイッチング電源が不良で送信波の回り込んでいたようでFT920のアンテナチューナーのリレー
(オムロン製ではない)を壊してしまった様子。
アンテナチューナーを使わなければ問題ないので、予備のスイッチング電源と交換し、そのまま使う事にする。
 WARCのアンテナも直ったので、FT1000MPは14/21/28、FT920はWARC用とする。
50MHzも含め、3波同時送信を行っている時間帯もあった。みんなSSBで呼んでいる時は
まるで、コンテストの雰囲気である。
 ふもとのJH3QNHファミリー部屋にも21MHzのダイポールを設置。(7MHzだけでは面白くないとの事)
ちなみにJAのパイルといっしょに、下からJH3QNHさんが呼んだらしいが負けたそうだ。
 0600-0759Zの2時間、FT1000MP使用権をJH3QNHに割り当てたら、
「これはリニアをいれるよりよく飛ぶ」といってYLリニアの
JH5IXGさんを連れてきた。2時間W8YAQで連続送信しても壊れなかった。なかなかのものだ。
(JH5IXGさんは疲れた!!といって帰っていった)
後ろで見ていると、みなさんそれぞれのスタイルでQSOを楽しんでいる。しかし、
JA3RRさんの”JAの方お待ちください。ヨーロッパの方どうぞ!!”というアナウンスもみんなで
後ろでこけていた。
 私は休憩時間にYAESUの黒崎さんが、町に行くとの事であったので、JA3KWZさんと
買い出しやラスロコマンドポストとバンサイクリフとバードアイランドの観光に連れていってもらった。
唯一の観光であった。ついでに、杉浦先生の絵葉書をだしにホテルのフロントを訪れた。
JF3PLFさんは郵便局で日本まで50セントと聞いていたので、切手を買って貼っていた。
その後、フロントから電話で最近60セントに値上がりしているとのこと。
後で聞いたが、JH5IXGがフロントで郵便局に問い合わてもらったら55セントとのこと。
いったい何が正しいんだろう?結局、JF3PLFさんのハガキは、50セントで日本まで着いたらしい。
(エアメールでなかったので時間がかかったようであるが)
 夜中の当番にあたると、ヨーロッパのパイが楽しめておもしろい。
久々に"UP5!!"と叫んでしまった。けど、FT1000MPのRITの動作が不調で、
5KHzまで上がらない!!(2つのVFOでスプリットのやり方もわからんかった。)
JF3PLF杉浦先生は、14MHzSSBでヨーロッパ相手に、ラストレターで指定をしはじめたが、
持ち時間の1時間では、Aから始めてもZまで行かずNで終わってしまった。
それを見ていたJA3ARTさんは、エリア指定でさばき始めた。こっちは1時間で一巡した様子。

【8/1】
 早朝は、みんな、21MHzのSSBでJA相手のパイルをさばいている。衛星はどうなっているとの
問い合わせが頻繁にある。
 7/31-2342Z、JA3DY-KH0/AE4SUとの間でAO-10によるQSOができた。今回、唯一のサテライトです。
JF3PLF杉浦先生は、昼過ぎの当番が終わったら泳ぎにいった。
 T88関連でお世話になっているらしい、ピア・ジャパンの伊藤さん(YL)が、偶然、
サイパンに来ていたらしく訪れてきた。黒埼さんと話をしていたんで、T88にもヤエスのレンタルシャックが
できるかもしれない。
 JF3LGCから、21MHzの下のほうでJA9BOHの8J1RLが出ているという情報をきいたので、
探しにいったがみつからなかった。
 この日も0700-0759ZはJH3QNHの時間。昨日と同様にYLリニアが1時間JA3YAQで運用。
 1127Z、21MHzCWを運用していたJA3KWZさんは、"LID,LID"と打たれ自信をなくしていたが、
UA3LIDというのが呼んでいただけだった。
 夜中、強風が吹いていた。突然、アンテナの調子(接触不良の様な状態になる)
JF3PLFさんとクランクアップタワーを降ろしたが、わからない。しかたないので、WARCバンドで遊ぶ。
(けれど、ヨーロッパのパイルは続く・・・・・)
夜中(というか早朝)に黒崎さんは日本に帰っていった。ご苦労様。
さすが、FT1000MPであっても24時間連続使用ともなると、QRHが激しいと盛岡クラブも
言っていたらしく、TCXO(高安定温度保証水晶発振器)を持ってきたが、
リグが空く暇がなかったので(取り付けをする時間がなかったので)、
「次に来たときに取り付ける」と諦めて帰って行った。

【8/2】
 8/1、2000Z、JA3ARTの当番を最終に1時間交代は終了。後はフリーで運用していたが
雨も降っていたので早めに撤収しようと、早朝(8/1、2205Z)にQSOを終わり、撤収開始。
アンテナを降ろしてみてわかったが、昨夜のトライバンダの不調の原因は、エレメントを
締めているネジが飛んでいた事が原因のようであった。
早く片づけも終わり、迎えの車まで暇だったんので、みんな昼寝やYAQメンバー宛の絵葉書を
書いたりしていた。この絵はがき、空港の途中に郵便局に寄って、投函の予定であったが、
迎えの車が来るのが遅れ諦めてパスした。空港で土産を買う時間もほとんどなかった。
(ということで、いつもの現地からのハガキは出せませんでした。)
 定刻より早く、飛行機は出発し、夕方、関空に到着。現地で解散し、各自の都合のいい方法で
帰っていった。

【おわりに】
 各自の写真の交換とQSL制作を開始。今回、みんな無線ばっかりしていたので、
QSLになるような写真が少ない。 帰ると、SASEも何通か来てる。QSO中の音声の録音も
JI3DLIさんがしてくれた。
 ということで、皆さんのご協力のおかげで無事に終了しました。また、ヤエス無線の黒埼さんにも
準備期間から帰国後までお世話になりました。みなさん、ありがとうございました。



(この記事は1999年8月−9月京都クラブ会報No.347-348に掲載されたものです。)


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  Last Update    May 12,1998